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高血圧・脂質異常症について

高血圧症・脂質異常症は動脈硬化の原因となります。狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、解離性大動脈瘤、腎動脈硬化による慢性腎疾患など動脈硬化に関係する病気は 食事と運動で予防することが出来ます。

高血圧症とは

まず正常な血圧とはガイドライン2019で示されています。正常血圧は診察室では120未満/80未満(収縮期血圧/拡張期血圧)です。家庭血圧では115未満/75未満です。

Ⅰ度高血圧は診察室で140以上/90以上です。Ⅱ度高血圧は160以上/100以上です。Ⅲ度は180以上/110以上です。血圧が高いと正常な人と比べて、動脈硬化が若い年令から急速に進行します。(高血圧症による冠動脈疾患発症率増加: Framingham study図の様に、血圧正常105mmHgの群では冠動脈疾患発症は1000人当たりで10名前後ですが、血圧高値195mmHg以上の群では1000人に46名前後と5倍近く増加します。)脳梗塞、脳出血、心筋梗塞、狭心症、解離性大動脈瘤、慢性腎疾患(今はCKD=Chronic Kidney Diseaseと呼びます)。その他全身の動脈硬化疾患も早期に進行します。

◆症状

血圧が140/90でも症状が全くない方もいます。血圧が高めになると「肩こり」「後頭部痛」「疲れやすい」「夜のもうひと頑張りの仕事がつらい」「いらいらする」「動悸」「息切れ」などの症状が出現します。180以上になると「ふらつき」「考えがまとまらない」「今まで出来ていた事がゆっくりしか出来ない」など脳出血一歩手前の状態になり、早期に治療しないと命の危険が迫ってきます。

◆治療

方針は3つです。

1) 食事:減塩しましょう。日本人は普通一日に塩を10g以上摂取していることが多いです。地域で差はありますが、東北地方の方は塩分摂取が多く、その為脳出血など動脈硬化疾患の発症率が高いです。減塩だけで、血圧は少し低下します。

2) 適度の運動:散歩や楽しい運動は血圧を下げるのにとても有効です。最近では「運動は薬である」(Exercise is Medicine.)といわれ、注目されています。ロコモティブ症候群(筋力低下症候群)やフレイル(虚弱体質)にも予防効果があります。肥満予防や肥満改善にも有効です。

3) 内服治療などです。以前は一度内服開始したら、一生続けなければならないといわれていましたが、今は違います。上記1), 2)でコントロール不良の時は内服治療などで下げましょう。そして、春過ぎから暖かくなり、血圧が少し低下傾向となったら、内服薬減量や、人によっては夏は中止の方もいらっしゃいます。体重をコントロールして降圧薬の減量や中止まで持って行くことが出来た方もいらっしゃいます。

脂質異常症とは

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022で示されている様に、悪玉コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)などが基準値を外れた場合に脂質異常症と診断されます。脂質異常症も動脈硬化を引き起こす危険因子のひとつです。

◆脂質異常症の進行と症状

1) 下記に述べる悪玉コレステロールを上昇させやすい食事の大量摂取を続けると、血中の悪玉コレステロール値(LDL値)が高くなります。体内の血管内腔にLDLが多くなります。下図の変化の様に悪玉でいっぱいの血管になります。

2)血管内のLDLが非常に多くなると、血管の内側の壁を通過して、血管の内膜と中膜の間に酸化LDLが蓄積されます。この物質を排除しようと、お掃除役のマクロファージが貪食します。そして塊としてそのまま残ってしまいます。これがプラークと呼ばれる物質です。

3)血管の壁に溜まったプラークは大きくなると、血管内腔を狭窄することになります。狭窄が75%以上に進行すると、狭窄部位より末梢に血液が流れにくくなります。末梢の組織にたくさんの酸素と栄養が必要な状態の時、つまり、運動時の筋肉や心筋細胞はSOSを発することになります。心臓で起こったこの状態が労作性狭心症です。SOSつまり狭心痛が起こった後に、安静にすると狭窄部位の血液渋滞が少し解消されて、痛みが緩和し、消失します。ニトロペンの舌下錠は血管拡張作用がある為、渋滞緩和効果となり、痛みが消失します。この状態を早期に発見し、狭窄部位に治療を行うと痛みは完全に消失します。放置すると更に進行します。

4)プラークの壁に亀裂は入ると、血管壁の障害部位を修復および止血目的で、血小板が障害部位に集まってきます。フィブリンという蜘蛛の巣の様なものを作り、赤血球や白血球などをすべて絡めて障害部位を中心として、血液の塊を形成します。そして完全閉塞を引き起こします。すると末梢への血流はまったく途絶えてしまいます。その後3時間以上経過すると末梢組織は壊死に陥ります。心臓筋肉の壊死を招いた状態が心筋梗塞です。しかし、心筋梗塞を発症しても3時間以内に閉塞血管の再開通に成功すると、心筋壊死を起こす前に心筋細胞を助けることができます。一刻も早い治療が必要なのはこの為です。

 

食事について

1.高血圧予防
減塩に心がけて、薄味に慣らしていって下さい。 血圧が高めと指摘された方は7g/日まで塩分摂取量を減らすと、それだけで軽症の高血圧は正常化することもあります。

2.高脂血症予防

控えたい食品 摂りたい食品
卵黄、うなぎ蒲焼き、鶏レバー、牛タン、あなご、わかさぎ、ほたるいか、バターや生クリームをたっぷり使った洋菓子 卵白、豆腐、鶏ささみ、納豆、ツナ缶、牛乳、プレーンヨーグルト、ほうれん草、ジャガイモ、いちご、干しひじき、ごま

HDL(善玉)コレステロールを増やす食品:さば、さんま、ぶり、鰯、鮪赤身
コレステロールを減らす食品:ブロッコリー、芽キャベツ、ごぼう、きのこ、海藻
※尚、詳しい資料は多比良医院にあります。

目標

  • 高血圧治療:血圧値130/80mmHg未満にしましょう。
  • コレステロール:血中総コレステロール220mg/dl未満、悪玉コレステロール(HDLコレステロール)120mg/dl未満が目標です。

早期発見の目安

血圧が高いと頭痛、だるさ、疲労感、動悸などが起こることが多いです。全く無症状である日突然脳出血で発見ということもありますので、健診で血圧が高めの方は、日頃からの血圧管理が重要です。 健診は必ず受けるようにしましょう。

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